涼を呼ぶ「つくばい」

夏を彩る小さな涼「つくばい」
夏になると、どうしても暑さに気持ちまで疲れてしまいがちですよね。そんなとき、目に入るだけで涼やかさを感じさせてくれるのが「つくばい」です。
もともとは茶室に入る前に手や口を清めるための手水鉢として生まれたものですが、現代では庭や玄関に置くだけで、静かな水の景色を楽しむことができます。写真のように竹筧から水がぽたぽたと落ち、石の器にたゆたう様子は、まるで小さな自然の一場面を切り取ったよう。耳を澄ませば水音が響き、眺めるだけで心が落ち着いていきます。
苔や緑と合わせれば一層爽やかに映え、夜には灯りと組み合わせて幻想的な雰囲気も楽しめます。夏は水面に青もみじや雲の影が揺らぎ、秋には落ち葉が彩りを添える。季節の移ろいとともに表情を変えるのも、つくばいならではの魅力です。
日本の庭のしつらえは、派手さよりも「静けさ」や「控えめな美」を大切にしてきました。つくばいもその象徴のひとつ。小さな器に流れる水が、暑さを和らげ、日々の暮らしにささやかな安らぎを運んでくれます。
Instagramでは、この「つくばい」を動画でも紹介しています。
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